JET-VTOL ( with HYDRO GENERATE SUB ROCKET )
登場作品:ウルトラマン(1966/TV特撮)
全長:18.5m/全幅:13.8m/重量:25t/最高速度:マッハ2.2/乗員:6名
(劇中設定より)
ここでは1989〜1997年に発売された3種のジェットビートルを展示しています。
バンダイ製 DXポピニカ
パッケージサイズ/縦:約16.5cm×横:約22.3cm×厚:約7cm
国内での新作ウルトラマンが制作されなかったこの時期でも「ウルトラマン倶楽部」等の
商品化でブランドを維持していたバンダイグループでしたが平成に入った1989年、遂に
ジェットビートルとホーク1号の玩具がDXポピニカブランドとして発売されました。
ビートルはポピー時代からみても初商品化であり「盛り上げなければ」…というメーカー
の意気込みを感じたり。 思えば前年の「ライブマン」時にスーパー戦隊10周年記念って
事で過去の戦隊ロボ超合金を再販したのが今回の懐キャラ商品化を後押ししたのかも?
因みにパッケージの表記は‘JET-BEETLE’ですが後に‘JET-VTOL’で統一された様です。
1989年発売/定価:1980円(税別)
バンダイ製 プラトイ DXジェットビートル
パッケージサイズ/縦:約18.5cm×横:約23.2cm×厚:約7.6cm
上記のポピニカ発売より3年後の1992年にはポピニカより若干大型のプラトイも発売。
やはりホーク1号と同時発売で、電池によるライト&サウンドギミックを有しています。
画像はそのプラトイを1996年に(ホーク1号と)再販したもので、パッケージ以外にも
生産国を日本から中国に変更し一部ギミックを簡略化する等の仕様変更が施されました。
1996年発売/定価:2980円(税別)
バンダイ製 超メカギャラリー 02
ケースサイズ/縦:約12.8cm×横:約18.2cm×厚:約8cm
超メカギャラリー(以後「超メカ」と表記)は、玩具第一でなくホビー事業部が発売した
15歳以上向けのハイエイジ向け商品で(例によって)ホーク1号に続きビートルを商品化
しましたが、実験的側面の強い商品だったかこの2点のみでシリーズは終了しました。
本来はこんな感じで↓クリアケースの外側に化粧箱があるんですが中古品故に欠品(涙)
価格面でも挑戦的な超メカですが、この経験は後の「HGメタルメカ」へと繋がる事に。
1997年発売/定価:3500円(税別)
以下にポピニカ版・プラトイ版・超メカ版を比較形式でご紹介。 展示モデルは基本的に
青バックがポピニカ版、黒バックがプラトイ版、灰色バックが超メカ版になります。
SIDE VIEW
ポピニカ版/全長:約14.7cm(約 1/126スケール)
フォルム優先でディティールは省略気味な本モデルはカラーリングも含めて80年代末期の
ポピニカにして随分と地味で物足りなさを感じたり。 意図的な設計なのかもしれませんが
後述するギミックを除き、当時からそのセンスには疑問と不満を感じていたんですよね…
ポピニカ故にボディはダイキャスト製ですが色味のせいか有り難味はイマイチな感じ。
画像は付属のシールを貼った状態で機体横の番号は劇中にあるバリエーションに倣い3種
の中から選べるという仕様、ここでは基本となる【 SIII 】をチョイスしてみました。
プラトイ版/全長:約17.7cm(約 1/105スケール)
同時発売だったホーク1号と同様にプラトイ版のフォルムは基本的にポピニカ版に倣った
感じですが、ディティール面に於ける最大の相違点としては機首両側面にバルジのある
(極小のインテークか?)馴染み深い劇中モデルを参考にしている点が挙げられます。
前翼(これをカナードとみて良いかどうか…)端は後述するギミックの関係でLEDが
剥き出しになっているのは結構好きな処。 機体番号【 Slll 】はポピニカ版とは異なる
書体を採用、劇中ではどっちもアリなんでマニア的にはニンマリする処かな?
超メカ版/全長:約13.1cm(約 1/141スケール)
前記の2種は‘玩具’ですが超メカ版は形に拘った‘フィギュア’にカテゴライズされる
モデルだけあって3種の中ではビートルのスタイリングを最も良く再現しています。
機体全体に程好く走る劇中には無いパネルラインはリアル感を演出、塗装の発色も良く
モデル自体は満足のいくものとなっています。 高めの定価はネックですが、マニア向け
商品という新しい方向性を模索する実験代を共に負担する感じ…と受け止めましょうか。
改めて比較
ポピニカ&プラトイ版はギミック内蔵の為に後方へ向かっての絞込みがイマイチ足りなく
若干のズングリムックリ感も。 対する超メカ版は逆に少々絞り込み過ぎな気がします。
因みに3種共、尾翼に黄色いラインのある初期モデルを意識して造型した様ですね。
劇中では2クール目に入った頃から様々なスタイリングのプロップが登場し黄ラインも
消えた117号機がメインになりますが、どうやらファンが思うビートルのイメージは
初期モデルで固定されている感じかな? 実際初期モデルが1番格好良いと思います。
TOP VIEW
元は映画「妖星ゴラス」に登場したメカの流用ですが、前翼とキツめの後退角を持った
主翼により期せずして科特隊の流星マークっぽさを出している上部に何とも不思議な
巡り合わせを感じたり…て、初めからビートルありきの流星マークだったりして!?
ポピニカ&プラトイ版は玩具という事もあって諸々アレンジするのは仕方無いにしても
尚、残念なのは機首上部にある白い楔状のラインを省略しちゃっている点ですね。
シールで再現すると思いきや重要なポイントとはみられなかった様で残念無念。
対する超メカ版の造型はそれが売りだけに流石の一語。 懐かしくも新しく、
度を越え過ぎないSF感を持ったビートルの格好良さが充分に再現されています。
BOTTOM VIEW
ポピニカ版の底部にはギミック用のハッチを、プラトイ版には電池ボックスの蓋を装備。
他にもポピニカ&プラトイ版には玩具らしく転がし走行用の車輪も装備しています。
上部同様に白いラインは省略していますがモールドだけはあったり。
ディティール面を楽しむ分にはプラスαのモールドも格好良い超メカ版がやはり
お勧めとなる訳ですが、こうして超メカ版を並べてみるとポピニカ&プラトイ版を
設計する際にどうアレンジ&設計していったかが判る様な気がしますね。
FRONT & REAR VIEW
パッと見、形状が似ているポピニカ&プラトイ版ですが正面から見ると違いが如実に。
プラトイ版はギミックの関係からかボディの断面がやや角ばった感じになっています。
ポピニカ版は劇中に則した卵型ですがキャノピーの面積がやや広めに感じたり?
超メカ版を基にポピニカ&プラトイ版のスタイリングを見て決定的に違うのは窓枠の塗装
を省略している(モールドは有)のと主翼に上反角が設けられている点。 個人的には
この2点が劇中との違和感を招いた結果、格好良さを削いでいるんじゃないかなぁと。
ポピニカ版に関しては主翼端にあるロケットの尾翼が主翼に対し十字になっている点や
先述した機首横のバルジの省略等を見るに当時の設計者のリサーチ不足が疑われますね。
手抜きではないんでしょうが、嘗てのポピニカに比べると造型レベルの低さは明らかで…
改めてポピニカ版
むー、角度を取って見るとフォルム自体は然程悪くない…かな? でも玩具として見ると
どうにも中途半端な印象が拭えないんですよね、造型がコレならもっと色味を派手にするか
逆に地味な色味に合わせ造型をリアル風にする等のバランス感覚が大事なんでないかと。
見た目上の玩具的良ポイントとしては上部のアンテナと後部ノズルにメッキパーツを使用
している点が挙げられます。 加えてキャノピーにクリアパーツを使用していれば更に
良かったんでしょうが…この時期にして定価1980円という枠の中では難しかったかな?
プラトイ版
基本的な造型の方向性はポピニカ版と同様なんでそのフォルムもまた然り、な感じですが
機首の雰囲気はプラデラ版の方が好みだったりします。 やや角ばったボディからくる
‘こんもり感’はSIII号機よりも117号機(の1種)に近い様な気がしますね。
因みにポピニカ&プラトイ版の前翼は翼端の武装ユニットまで一直線になったタイプ。
このタイプのモデルは実際に劇中でも登場するんですが、ガルウィングの如く2段階に
角度を付けたタイプも登場します。 個人的にはそっちの方が好みなんだよなぁ。
因みに前翼端のユニットはレーザー砲だったりセンサーポッドだったりする様です。
超メカギャラリー版
眺める分にはこの時期にして最高な超メカ版、キャノピーはクリアパーツ使用で質感も
良しです。 先述した前翼には角度を2段階付けたバージョンが採用されているのも
嬉しかったり。 商品の性格上、表面はピカピカなんで汚しを入れるのも一興です。
マジメに立体化しているだけあって何処から見ても画になりますね。
機首横のバルジは開口されていませんがピンバイス1本で出来る事なんで無問題です。
ACTION
ポピニカ版
上部のアンテナを押すと底部のハッチが開き収納されている武装ポッド(説明書表記)が
迫り出します。 後部ノズルを押せば予め装填したミサイルを発射、ポッドはミサイルを
1発装填した状態で収納可能です。 (ミサイルはランナーに付いた状態で5発付属)
玩具ならではのオリジナルギミックですが劇中でも底部にロケットランチャーを装備した
事がありましたっけ。 他にも特殊潜航艇S号やベルシダーを運搬したり都合3機で
ゴモラを釣り上げたりと個々の回数は少ないものの様々な表情を見せてくれました。
記憶によるとこのポピニカ版はマルサン(マルザン期?)のソフビ、フジホビーのミニ
合金に次ぐ3個目のビートル‘玩具’にして走行以外のギミックを搭載した初のモデル。
ポピニカらしい遊べるギミックであると同時に最大のセールスポイントとなっています。
ACTION
プラトイ版
プラトイ版はライト&サウンドギミックを搭載、底部にあるカバーを外して単3電池を
2本セット。 底部後方にある赤いスイッチを入れると飛行音が鳴ると共に前翼端の
LEDが点滅、アンテナを押すとマシンガンの連射音と共にLEDが高速点滅します。
余談ですが本モデルが発する音と赤色LEDは共通ユニットなのかユタカの玩具を含め
一時期やたらと多用していた記憶があります。 劇中ではレーザー砲っぽいんで光や音も
ソレっぽくして欲しかった処ですが…やはりコスト削減の一環なんですかね?
因みに1992年発売の初版では機体を傾けると飛行音のパターンが変化するギミックも搭載
されていましたがこの再販版では残念ながらオミット、同時再販のホーク1号に至っては
ライト&サウンド自体がオミットされて…コスト削減の波は思ってる以上に高いッス。
ACTION
超メカギャラリー版
形に拘った超メカ版ですが外観の再現だけに留まらず素敵なギミックを搭載しています。
ボディ上部前方の外装は取り外す事が可能で、内部にはコクピットを始めとする機内の
様子を再現。 若干スケール違いですが1/144の国際救助隊員に試乗して貰いました。
本当は2004年にトミーテックから発売された1/150の科特隊員セットを
使いたかったんですが…何れにせよスケール違いか。
ポピニカ版とプラトイ版にはハイドロジェネート・サブロケットが付属し換装可能。
因みに「宇宙ビートル」とはブルマァク製プラモから使われた名称だそうで、後の
フジホビー製合金玩具・ダイカミニにも使用されていたのでそれらに倣いました。
宇宙ビートル
ポピニカ版
主翼端にあるロケット弾を外して付属する大気圏脱出用ブースターを装着すれば完成。
‘ハイドロジェネート・サブロケット’という名称はまだ一般的ではなかった様で
本モデルに於いては‘大気圏脱出用ブースター’と表記されていました。
全長:約14.8cm
ホーク1号になるとそのまんま宇宙へ行きますが、やはり何かしらの追加装備を施すと
いうプロセスはメカマニアとして嬉しい処です。 ビートルの各種追加装備は派手過ぎず
且つ印象も良い感じに変わるのでもう少し個々の使用回数を増やして欲しかったかな。
何にせよプレイバリュー確保の為でしょうがバンダイ初のビートル玩具に‘大気圏脱出用
ブースター’が付属したのは嬉しかったですね、装着具合もサマになっています。
宇宙ビートル
プラトイ版
プラトイ版の装着方法はポピニカ版と同様ですが諸般の事情からか3基のロケット前後に
あるメッキパーツはユーザーが組立てる仕様となっており、組立てた状態でパッケージに
仕舞うとパッケージ前面が浮いてしまう事に…この辺はもう少し考慮して欲しかった処。
余談ですがプラトイ版では‘ハイドロジェネード・サブロケット’と表記されています。
どうやらその都度‘ジェネート’だったり‘ジェネード’だったりする様ですが
ここではハセガワのプラモ等に従って‘ジェネート’としました。
全長:約18cm
装着具合もポピニカ版同様に良い感じ。 もしかすると先述の主翼に付けた
不自然な上反角はサブロケットの取外しをし易い様にする為なのかもしれませんね。
尚、劇中でサブロケットを装備したのはSIII号機ではなく117号機になります。
そう言えばバンダイ製プラモ・メカコレでも商品名は「宇宙ビートル」でしたっけ。
ディスプレイ台
同時発売だったDXポピニカ・ホーク1号と同様、ビートルにもディスプレイ台が付属。
思えば台座付ポピニカって少ないですね…プレアスターと宇宙戦艦ヤマト大小くらい?
画像左には使用済みのシールもご紹介、SII5( S115 )号機は印象薄いんだよな…
SII7号機に関しては「S」の付かないII7( 117 )号機しか登場しません。
超メカ版にもディスプレイ台が付属しますが中古品な為、残念ながら化粧箱と共に欠品
…ですが、超メカ版はケースのまま飾った方が映えそうなんでまァヨシとしますか。
本来は同時発売だったホーク1号と同型のシンプルなディスプレイ台が付属します。
自慢のジェットで敵を討つ!
ポピニカ版は初のバンダイ製一般玩具で、ギミックを優先した玩具らしさに時代が求めた
リアルさの融合を試したものの明確な方向性が定まりきらない内に世に出たという印象。
同年のポピニカが「ジバン」の3点セットという小品で、次年が「ウインスペクター」の
単品2点という事を考えると発売時期的にビミョーだったのかもしれませんね。
プラトイ版の初版は1992年という事で単純にポピニカ版を大型化しつつ、この時期流行?
の‘光と音’ギミックに移行させたコストカットぶりがスタイリング以上に残念だったり。
展示した再販版は更にコストカットしてるってのもイマイチ好感度が上がらぬ理由か?
ポピニカ版から8年の開きを経て出た超メカ版はビートル商品の主購買層が子供から大人
(マニア)へと代わってゆく時代の流れに合わせた初の一般商品で、個人的には1995年の
ガシャポンHGウルトラマンpart 5のビートル&ホーク1号が呼び水になった気が。
過渡期の様子が窺える3機です
最後に3機揃ってパチリ。
ファンタジーとリアルの塩梅が程好いビートルは個人的にホーク1号より好みだったり。
そのホーク1号と共にニーズの変化を探りつつユーザーに問うたこの3種のビートル、
其々に与えられた意味合いに思いを馳せながら遊べば不満部分も気にならないかな?
理想としては機械的ギミックに光と音、再現された内部を小さな人形で遊べるってのが
良いんですけどね…ビートルは間違いなく日本特撮界が生んだ傑作機の1つ、この後も
ホーク1号らと共に商品化されていくんでしょうが優秀な‘玩具’も欲しい処です。