カボールの
宇宙船

登場作品:月世界探検(1964

 

 

 

 

X-PLUS製 コールドキャスト完成品

「レイ・ハリーハウゼン フィルムライブラリー」と題されたシリーズの1品で

ハリーハウゼンが携わった映画の中から特徴的なキャラ等を立体化。「月世界探検」

からは本商品とムーンカーフ、セレナイト等がラインナップされていました。

特に名称が無かった為か本商品名は単に「Space ship」となっています。

 

2001年発売/定価:2980

 

 

SIDE & TOP VIEW

直径:約5.2cm

 

球体然としたその外観は発明家・カボール氏によって19世紀末に製造されたという

設定だけあって如何にもレトロ調。最大の特徴はエンジン類を一切搭載していない

鉄製の球形カプセルと言って良い設計で、その周囲をフレームで格子状に覆ったスタイル

となっています。では如何に飛行するのかというと氏の最大の発明である「カボライト」と

名付けられた重力遮断物質を用いる事によって可能としています。

 

カボライトはヘリウム等を材料とした物質で、高温にて液状に生成された後に外形全体に

走るフレーム内に収納されている開閉式シャッター(ブラインド)に塗布。

シャッターを開閉する事で重力を調整する仕組みとなっています。

カボライトの重力遮断効果は冷えた後に発現。

映像を見るとシャッターは全てのフレーム間で展開される様です

 

搭乗口は上下にあり内部は基本1ルーム。背もたれの無い丸椅子は天井から吊るされた

網状のロープと繋がっており、これを掴んでショックに備えるという何とも危なっかしい

システムとなっています。内壁には豪華なクッションが張られ計器や操作盤も配置。

床下には気密室でもあるカーゴスペースを設けてあり、劇中ではここに「新鮮な食料」と

して生きた鶏を入れたり月面でハッチを開ける際に船内の空気が抜けてしまう為、

3人目の乗組員をここへ退避させたりしていました。(宇宙服が2着しかない為)

 

尚、下部にあるハッチは緊急用とみて良さそうです。

 

 

1899年、英国人が初めて月に降り立つ!

モデルは月面に着陸したシーンを再現したディオラマ仕様となっており

月面を模した台座と若干オーバースケールな人形が2体付属しています。

劇中では潜水服をそのまま宇宙服として使用するお気楽設定で、本来は片方のヘルメットが

金色なのですがモデルでは両方銀色に。船体はシャッターを収納した状態での造形なので

塗装は単色となっていますがシャッター展開後は窓は隠れフレーム間は金色となります。

 

本船は着陸装置を持たない為に月面着陸時は不時着同然で、豪快に転がった後に停止。

船外にある複数の突起は着陸時の衝撃吸収装置と思われますが設計者であるカボールは

基本的にマッドサイエンティスト寄りな人物として描かれている為かアチコチで

設計ミスっぽい部分が見受けられるのが何とも危なっかしかったり可笑しかったり。

 

 

DVD!

原題は「月世界最初の人間」。映画は1964年公開ですが原作小説は1901年出版という古典。

映画は人類史上初の月面着陸〜探査をするシーンから始まるのですがアポロが月に行く

前にしては指令&着陸船の描写など当時としては結構リアルでした。

 

人類史上初となる月面探査の筈なのに其処でイギリス国旗と手紙を発見する飛行士たち…

冒頭と後半はシリアスタッチなのに前半はカボールのキャラクターを中心に

酷くコメディタッチとしたアンバランスな作劇が少々ビミョーな本作ですが

昆虫の様な月人・セレナイトやハウゼン得意のコマ撮りによるムーンカーフなど

見所も一杯な本作。古き良きSF映画の1本としてお勧めです!

 

 

 

 

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全くの余談ですが藤子F不二雄の漫画「キテレツ大百科」の中に登場する発明品の1つに

‘昇月紗’という重力を遮断する布があって、キテレツは土管の前後に昇月紗を取付けて

これを宇宙船とし、地球の重力を遮断して月の引力に引かれる事により

月に行こうとするのですが、もしかするとF氏は映画「月世界探検」や

その原作をヒントにしていたのかもしれませんね。

サブタイトルは「江戸時代の月面図」で

てんとう虫コミックスだと3巻に、全集だと1巻に収録されています。

 

因みに同話には千里鏡なる発明品も登場。キテレツの先祖である奇天烈斎がアポロ11号が

撮影した月面写真とそっくりの絵「月世界之図」を文久二年(1862年)に描いていたのを

不思議に思ったキテレツは昇月紗と千里鏡を合わせる事でこの絵を描いたと推理する。

 

千里鏡は送信機のカメラが写した映像を離れた場所にある受信機に送信、受信機は

その映像を筆を用いて絵に描くという代物で、奇天烈斎は昇月紗を用い何らかの方法で

送信機を月面に送り込む事によって精巧な月面の風景画を描けたのであろう事が

キテレツによって語られています。

 

カボールが(見た目から)仮に55歳だとすると奇天烈斎は人ではなかったにせよ

カボールが18歳の時に月へ到達していた…なんて考えると楽しいですね。

 

 

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