ソビエト連邦・ロシア製 宇宙ステーション(1986)
NewRay Toy製 プラトイ
「スペースアドベンチャー・モデルキット」と銘打たれた海外トイシリーズの1品。
所謂低年齢向けのトイですが2000年代の製品と言うこともあってか
意外と高い完成度でユーザーを楽しませてくれます。
2004年発売/定価:?
ラインナップ
明らかに実在のメカをモデルにした全4種なのですがそれぞれ馴染みのある名称は
与えられておらず本モデルも「SPACE STATION」と名付けられております。
何か他と比べてSPACE STATIONだけ浮いている様な…?
だけどディスプレイ台には…
「Mir(ミール)」ってプリントされてるし(笑)
以前ミールとして発売されていた物の再販品なのかもしれませんね。
部品は各モジュールごとに。
分離状態でパッケージングされている各パーツは基本的に実在のモジュール別となっており、
これを組み立てていく過程が嘗て実際に行われた建設作業をイメージ出来て大変楽しいです。
ではミールの歴史を振り返りながら早速、建設していきましょう!
(参考・ウィキペディア)
コアモジュール&クバント1
1986年2月19日に打ち上げられたコアモジュールはミールの中核を為す部位で
クルーの居住区でもあります。モデルは後に打ち上げられるクバント1とドッキングした
状態で成型されており誠に残念ながら分離は不可能となっています。
コアモジュール
全長:13.13m/直径:4.15m/ソーラーアレイ幅:20.73m/質量:20400kg
クバント1→
打ち上げ:1987年3月31日/ドッキング:同年4月12日
コアモジュール後部に結合するX線と紫外線天体観測用モジュール。
姿勢制御用のジャイロダインを装備し後に姿勢制御スラスタパッケージを追加設置。
直径:4.35m/本体質量:11000kg
クバント2
打ち上げ:1989年11月26日/ドッキング:同年12月6日
モジュールは大まかに船外活動の為のエアロック室、貨物室、実験室から成る。
姿勢制御用に6基のジャイロを装備し、太陽電池パネルは6.9KWの電力を供給可能。
全長:13.73m/直径:4.35m/本体質量:19640kg
クリスタル
打ち上げ:1990年5月31日/ドッキング:同年6月10日
どうも実際のドッキング時はクバント2の反対側に結合された様なのですがモデルは
各モジュールのジョイント型が個別のものとなっている為、画像右の様な形態に。
クリスタルは端にドッキングポートを2基装備した資材処理・各種研究ユニット。
モデルはソーラーパネルを片側のみ、且つ収納状態で再現しています。
またドッキングポートにオレンジ色のユニットが接続されていますが(画像左上の左下部)
これが何なのか解りませんでした。1995年11月15日にアメリカのスペースシャトル
アトランティスによりシャトルとのドッキングを可能にするモジュールが結合されたので
そのモジュールかと思ったんですが形状が大きく異なるんですよね…何でしょ?
全長:11.9m/直径:4.35m/本体質量:19640kg/全幅:36m(ソーラーパネル展開時)
スペクトル
打ち上げ:1995年5月20日/ドッキング:同年6月1日
5年ぶりに追加されたのは地球観測用の各種実験用モジュール。
1997年6月25日、無人宇宙輸送船プログレスとの衝突事故が発生。空気漏れによる閉鎖、
また閉鎖時に起こった電力ケーブル切断により電力不足に見舞われる事に。
3度の船外作業で電力は復旧したものの空気漏れは2000年4月まで修理出来ず
観測・実験施設としては碌に稼働出来なかった様です。
全長:9.1m/直径:4.35m/本体質量:19640kg
プリローダ
打ち上げ:1996年4月23日/ドッキング:同年4月26日
※画像右はソユーズ&プログレスもドッキングさせた状態になります。
ミール最後のモジュールとなったのは地球の資源探査や陸地・海洋・気象状況等の把握、
研究を行うリモートセンシングユニット。当初は他のモジュール同様に
ソーラーパネルを装備する予定だった様です。
全長:9.7m/直径:4.35m/本体質量:19000kg
有人宇宙船ソユーズ&無人貨物輸送船プログレス
画像左が前部、画像右が後部。またそれぞれ左がソユーズ、右がプログレスになります。
まずはソユーズから。(ほぼ白一色の方)
モデルは恐らくソユーズTの改良型ソユーズTMで1987〜2002年にかけて運用されました。
前部のほぼ球状の部分が軌道船、そこから赤いライン位までの釣鐘状の部分が帰還船、
そこから後部が機械船と大きく3つの部位から成り立っています。
軌道船は軌道上で乗員が活動するモジュールでトイレも完備。
ドッキングポートはミールだけでなくソユーズ同士でも結合可能です。
帰還船は地球への帰還時に使用するモジュール。
軌道船と機械船は分離して廃棄、大気圏で燃え尽きます。
機械船は姿勢制御用スラスターや大気圏突入用エンジン等を装備。
生命維持用の水と酸素も搭載しています
全長:7.48m/直径:2.72m/乗員:3名
次にプログレス。(半分以上ガンメタっぽい色の方)
プログレスの外観は基本的にソユーズと同じでソユーズから乗員に関するシステムを廃し、
代わりに貨物運搬能力を高めた無人の宇宙船でミール等に補給物資を運搬します。
軌道船だった部分は与圧されており機械類や衣服、食料などが積み込まれています。
帰還船だった部分は燃料区画に。ステーションに燃料を補給します。
後部の推進モジュールはドッキング後にステーションの位置変更にも使用されます。
補給後はステーションで出た廃棄物を詰め込んで分離。
大気圏に突入させプログレスごと‘焼却処分’されますが1989年デビューの改良型
プログレスMでは長さ1.5m、直径60cmのラデューガカプセルを搭載。
与圧室に詰め大気圏突入時に分離、150kgまでの物を地上に送る事が可能になりました。
全長:7.23m/直径:2.72m/貨物重量:2600kg
モデルではソユーズはコアモジュールに、プログレスは反対側になるクバント1に結合。
ミール完成!
コアモジュールの打ち上げから10年という時間をかけて完成。
それではクバント1辺りからぐるっと外周巡りを。
裏側に回り込んで…
スペクトル周辺へ。
クリスタルのソーラーパネルが片側しかないのはコアモジュールのパネルに干渉するから?
スペクトルを回り込むとソユーズの姿が。
プリローダを含む全景図。実機では各モジュールの配置は任意に変更出来る様です。
3歳以上向けの幼児向け玩具ですがその造形&ディティールは素晴らしいの一語!
造形の省略やオレンジに代表される玩具的カラーアレンジ等も気になりません。
平面図
宇宙空間で使用するリアルなメカなので上下左右は関係ないのですが
玩具としてはディスプレイの関係上、上図の様に。
ノンスケールモデルで画像右に於ける左右の長さ(プログレス〜ソユーズ間)は約17.8cm。
各モジュールでスケールがバラバラなので‘無理くりスケール表示’も出来ず(涙)
ソーラーパネルが可動
一部を除きパネルは回転可能。
先述の各モジュールといい、この玩具にして充分な内容だと思います。
欲を言えばアトランティスも付属してクリスタルにドッキング出来ると更に嬉しいかも!?
海外ではプラモも発売されている様なのでディティール重視の向きはそちらもお勧めです。
21世紀の幕開けを見守った後に引退
色んなトラブルがありながらも15年近くの間に100人以上の飛行士が訪れたミール。
90年代、ロシアの国際宇宙ステーション(ISS)参加に伴いその役目を終えたミールは
2001年3月21日、南太平洋上に再突入させ廃棄処分に。
飛行士の訓練・展示用に予備機が製造されていたコアモジュール&クバント1は
1998年、北海道苫小牧市に寄贈。1999年に建設されたミール展示館にて公開される事に。
予備機とはいえ本物が日本にあるんですね。地元の方が羨ましいです。
↓再度登場のコアモジュール&クバント1
ミール展示館で展示されているものに基本パネル類は無いのですが
1枚だけ畳んだ状態のソーラーパネルが取り付けられている様です。
惜しい…実に惜しい…!
1998年、ポンキッキーズの企画「ガチャピン宇宙へ」が始動。
8月13日に打ち上げられたソユーズに乗り込んだガチャピンは15日〜20日にかけて
ミールに滞在。定期的に地上のイベント会場と中継、帰還後の30日には特番も予定
されていましたが劣悪な通信事情により殆ど映像の伝信が出来ず中止になったそうです。
実現していればガチャピン最大のチャレンジだっただけに残念至極!