伊-507&N式潜航艇

登場作品:ローレライ(2005

全長:110m/全幅:9m/速度:不明

 

 

福井晴敏氏の原作「終戦のローレライ」が2005年に映画化、公開されました。

太平洋戦争末期を舞台に空想科学潜水艦【伊―507】が活躍する本作は

「戦争映画」というよりはゴジラに代表される東宝特撮映画の流れを汲む

娯楽作品となりました。

 

 

 

 

そのデザイン

 

*  第二次世界大戦・潜水艦・女の子

…のお題で監督の樋口真嗣氏が福井氏に執筆させたと聞きました(笑)

映画の内容は…というと人それぞれだと思うのですが、個人的には脚本や演出は

置いといてキャスティングをもう少し何とかして欲しかったところです。先にも書き

ましたがお話はファンタジーなのでそれこそ怪獣映画に出てきそうな役者であれば

もっと片意地張らない「娯楽作品」として受入れられたと思うのです。

 

肝心の伊―507を始めとするメカ群ですが、やはり今時の映画らしくCGが多用

されており時代を感じます。ミニチュア撮影より費用対効果が高くなった証拠ですが、

静止状態ならともかく一旦動き出すとどうも「軽い」印象が拭えないのが難点です。

これは制作側のセンスの問題もありますが昨今のアニメに影響を受け過ぎているの

ではないでしょうか?樋口監督といえばガメラを思い出しますが、あの時もやはり

アニメ的な画面作りが見受けられました。アニメ好きな若い世代からは「そこがいい」

という評価もあるかと思いますが、実写映画であるならばやはり

「本物の質感と動き」を追求して欲しいのです。

 

*    戦利潜水艦 伊-507

劇中に登場する主役の潜水艦「伊―507」は元々は仏が建造した「シュルクーフ」

という実在の潜水艦がモデルになっています。仏から米に渡った本艦を更に独が拿捕、

改装。独降伏後に日本が接収…という複雑な過程を経た設定になっています。

 

外見上の特徴としては何といってもセイル前方に設置された203mm連装砲で、

潜水艦の用法上としては既に時代遅れなのではありますが見た目の派手さ、

カッコ良さはありますね。この辺がモデルになった所以かもしれません。

 

シュルクーフとの大きな差としては艦首の形状が挙げられます。

下部が球状艦首からの曲面構成になり、その姿はどこか名空想科学潜水艦

「サブマリン707」を彷彿させます。そしてセイル後部には伊―507最大の

特徴である「ローレライ・システム」を搭載した…

 

*  N式特殊潜航艇

…が設置搭載されています。水を媒介にして潜水艦の外側を感覚的に視認する事が

可能な少女パウラ。彼女がローレライ・システムの肝でシステムを起動すると

伊―507の司令室にある機器でパウラの感じる感覚を映像化。海底の地形や

敵の位置・その数・攻撃時の雷跡などを正確に把握する事が可能となる。

従来の潜水艦の索敵能力を遥かに超えた能力で絶えず敵の先手を取る事が出来る訳です。

N式潜は出撃後もケーブルで伊―507と繋がっており、

その姿は曳航式ソナーといったところでしょうか。

それにしても軍艦(それも潜水艦)に年端もいかぬ女が乗るというのは、どーも…

 

 

 

 

…で、玩具

 

ピットロード製 1/350完成品

劇場公開に合わせて発売されたマニア向け商品。

高額ではありますが艦船モデルでは定評のあるピットロードによる

ファン納得の1品となっています。

 

2005年発売/定価:11800円

 

 

左舷

全長:約30cm

 

シュルクーフをベースに707テイストを加味した様な艦影は中々の格好良さ。

現代ではファンタジーとも言える203mm砲も空想世界では頼もしい事この上ありません。

設定全長は110mなので本来は約31.4cmとなるのですが…材質的に収縮するのかな?

 

 

上部および底部

密度の高い造形で魅せてくれる上部。本来は後述の台座に固定された状態となっており

画像はビスを外しての撮影となっています。底部中心線上に2つある穴がビス穴なの

ですが結構乱暴に開けてありますね。塗装も一部剥がれちゃってます(汗)

 

 

拡大!

側面のベコベコ感が良いですね〜!

ここはツルツル造形とする場合が多く見られるのですがこの方がリアルですね。

 

 

後部の造形も前部に負けない高密度!表面の荒れ具合が残念なところです。

 

 

セイル後方から

1/350スケールというのは艦船としては大スケールな部類かと思うのですが相対的には

小スケールな訳で、その表現には自ずと限界があるのですが本モデルは架空艦としては

非常に細かな造形表現を見せており見る者を引き込んでくれます。

 

 

スクリュー周り

右舷側のスクリューシャフトは左舷側より短めとする設計。

 

 

艦首および艦尾

艦首形状は707のそれと言って良いほどソックリなものに。

艦尾にいくに従ってボディ断面の形状に変化が見られるのが楽しいですね。

 

やはり砲のせいでしょか水上艦の持つ格好良さを併せ持った艦影。

立体栄えするデザインに優れた造形。本モデル、優良アイテムと言えそうです!

 

 

砲塔旋回!

この部分は敢えて?接着されていないので旋回させる事が可能となっています!

これは何とも嬉しいギミックですね。映画ではB-29を撃墜してましたっけ。

 

 

N式潜航艇、発進!

N式潜は取り外し可能。これまた嬉しいギミックです!

N式潜は全長:約4.1cm。小さいながらも◎な造形です。

 

 

付属のディスプレイ台

金属プレートが付いた木製の台座が付属。

裏側からビスで本体を固定しています。

 

 

 

 

タカラ製 世界の艦船スペシャル

映画公開に合わせて発売されたシリーズ番外編。伊―507を始めとする全9種で

伊―507とN式潜の原型は海洋堂によるもの。(他はピットロード原型)

一般向け商品としては唯一と言っていいが中身が選べないので映画を観た人が

気軽に購入…という訳にはいかない。これは商業的に如何なものか、と思います。

バンダイ辺りが適当な玩具を発売してくれていれば良かったのですが。

 

2005年発売/定価:380円

 

 

-507

全長:約15cm(1/700スケール) 別アイテムのマイクロ水中モーターで航行可能。

 

シークレットであるシュルクーフ(ピットロード原型)は砲塔が旋回可能なのだが

この伊−507(海洋堂原型)は不可となっている。

また、何故かスクリューシャフトが初めから欠損していて

この辺りがファンの間で物議をかもす事に…。

 

 

N式潜航艇

別アイテムでラインナップされているN式。

モデルになったのは独の小型潜航艇「ゼーフント」。

 

少女パウラはこの中でローレライ・システムを起動する。

他に魚雷を2本装備。

 

全長:約10cm 1/144スケール

 

搭乗用ハッチなどが再現されている前部(画像左)

スクリューは円周の板で覆われている「コルト・ノズル式」と呼ばれるタイプ(画像右)

 

 

ローレライ・システム起動!

パウラには精神的にも肉体的にも負担がかかる…

画像はセブンイレブン限定ドリンクキャンペーン商品の1つ。

 

 

UF-

伊−507の前身。

独が拿捕したシュルクーフを改装した姿でローレライ・システムの実験艦。

 

このUF−4と下で紹介するナーバルはパウラの胸像と共に

文庫版「終戦のローレライBOX」に付属するもの。

 

 

ナーバル

この後N式潜に。

 

 

 

 

映画「ローレライ」は評価の分かれる内容

でしたがここで生まれた伊―507は過去の

空想科学潜水艦を手本にハイセンスに

纏められた良い潜水艦だと思います。

降って湧いた様な感じの映画でしたが

嘗てあった「怪獣に頼らない特撮娯楽映画」

がまた量産される事を切に願います。

 

 

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