イ-77

登場作品:真夏のオリオン

 

 

終戦間際、特攻兵器・回天を抱えた潜水艦イ-77を指揮する若き艦長・倉本を中心に描く

池上司の小説「雷撃深度一九・五」を映画化した「真夏のオリオン」は古き良き日本人の

メンタリティーを刺激する少し懐かしい感じのする映画でした。

2009年6月13日公開

 

 

 

 

そのデザイン

 

*    -58からイ-77

映画に登場するイ-77は回天の母艦としての役回り。原作では史実にある米の重巡

インディアナポリスを撃沈したイ-58なのですが映画化に際しては架空艦に変更。

また艦型もイ-58の乙型改2(伊54型)がモデルとなっている様ですが

回天搭載の為、航空機格納筒を撤去した姿となっています。

 

乙型改2は全長108.7m。艦首魚雷発射管は6門ありますがイ-77を見ると

4門となっています。(因みに丙型だと8門もある)元より回天の母艦としての

運用が予定されていた為に航空機格納筒と共に14cm砲等も装備されていません。

代わりに搭載されている4艇の回天が末期度を感じさせます。架空艦では

ありますが架空度は低めのイ-77。劇中での心に残る度も若干低めでしょうか。

 

 

*    勿体無いじゃないか

死に急ぐ血気盛んな回天搭乗員に艦長・倉本(玉木 宏)は

「ここで回天を使うのは勿体無い」とやんわり制止するのが印象的でした。

 

作品は1つの曲をストーリーの軸に絡めているのですが戦争映画に然程興味の

無い人を取り込む為のファクターとはいえ不要感は否めません。

史実を基に脚色した原作に更に脚色した本作は最早昨今ありがちなキャスト

にのみ興味のある人しか楽しめない作品の様な気がします。

 

「戦争映画」に必要なカタルシスや骨太なストーリーを持った作品というのは

今の日本の映画界では制作不可能なのかもしれません。悲惨さのみをネチネチ語る、

或いは軟弱さしかないストーリー、細かなディティールは一切無視といった

戦争題材映画はもう要らないんじゃないでしょうか。巨額な予算が勿体無いです。

 

 

 

 

…で、玩具

 

ピットロード製 1/700塗装済み完成品

艦船模型では定評のあるピットロードから劇場公開に合わせて発売された完成品で

映画館等でも販売されていました。ここで展示するのは1/700スケールの

ものですが同社からは1/350スケールのものも発売されています。

 

2009年発売/定価:1300円

 

 

左舷

全長:約15.1cm

 

基本的に旧海軍の潜水艦そのものなのでモデルの方もそんな感じに。

タカラより展開されたコンビニ系玩具「世界の艦船」に準じたスタイルですが

造りや塗装のレベルはそれより1歩上と言ったところ。

 

↓艦橋部周辺をアップで

航空機格納筒を廃した艦橋部は少し淋しげ。

艦橋前部にある22号電探なども甲板上の回天共々、細かく再現されています。

 

 

上部および底部

甲板上の回天は画像の様に配置。固定されているので取り外しは不可です。

底部にはディスプレイ台に取り付ける長方形の穴がありますが先述のタカラ製玩具

「世界の艦船」と同規格なので世界の艦船専用の水中モーターも付けられそう。

航行するか否かは?ですが…

 

 

前部および後部

このサイズにしてこの造形ならば充分でしょうが潜望鏡の取り付けが…

 

←スクリュー周り

 

 

ディスプレイ台が付属

世界の艦船に倣った台座が付属。ネームは印刷処理されています。

 

 

 

 

「眼下の敵」には敵わなかった本作。

現代の日本でスペクタクルな戦争映画は

望むべくもありませんが、もう少し冒険や

アクション的要素を含んだ骨太ストーリー

な作品を観てみたいものです。

…あ、「ローレライ」は(以下略)

 

 

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