関連イベント:1970年 日本国際博覧会( EXPO'70・大阪万博・万博・万国博 )
JAPAN WORLD EXPOSITION, OSAKA 1970
主催:財団法人 日本万国博覧会協会
参加国:77ヶ国/4国際機関/6州/3市/1政庁
開催期間:1970年3月15日〜9月13日
会場:大阪府吹田市千里/千里丘陵330ha
来場者数:6421万8770人(目標:3000万人→5000万人へ変更)
小学館 ワンダーライフスペシャル
学年誌が伝えた子ども文化史
昭和40〜49年編 付録
小学館の学年誌「小学○年生」の長い歴史の中で昭和40年代に発刊されたものを取り
纏めたムック本で、子供目線による当時の重大ニュース・人物・流行・未来予測等の記事
をダイジェストでプレイバック。 中でも大阪万博と月着陸は巻頭特集で組まれました。
で、児童誌のお楽しみと言えば付録という事で本誌には小学二年生・昭和45年(1970年)
6月号の付録「組立て 万国博大パノラマ」を復刻したものが付属。 部品は切り込みが
あるので鋏は要らず糊も不用ですがセロテープがあると便利、あと糸が必要になります。
2018年2月19日初版発行/定価:1200円(税抜)
江崎グリコ製 食玩
タイムスリップグリコ 大阪万博編
2005年発売/定価:294円(税込)
グリコと海洋堂が2000年代にコラボした人気食玩シリーズに大阪万博編が登場、
人気パビリオンや展示品などシークレット込み全14種がフィギュア化されました。
以下に順を追って各フィギュアのリンクを貼っていますがタイムスリップグリコのみの
閲覧を希望の場合は単独の展示室も用意していますのでそちらをご利用下さい。
それでは早速、万博会場を建設していきましょう!
敷地
当時の小学二年生向けという事で簡易地図の様なベース部。 因みに上部(北側)にある
楕円形の通路と池は広大な日本庭園、本来右下(南東)にある遊園地「エキスポランド」
は残念ながら割愛に…まァ、ここだけ飛び出していたんで仕方ないですね。
造成
敷地サイズ/縦:約20.5cm×横:約45.7cm×高:約1.5cm
四辺を二段階に折り曲げ全体を箱の蓋状にする事で強度と後述するパビリオンの差込用
クリアランスを確保、単純作業の様ですがデカイんで曲げて組むのも一苦労だったり?
敷地が完成したら緩やかな千里丘陵と会場を周回していたモノレールを差し込みます。
以下の各パビリオンもそうですが基本的にイラストが画かれた紙のパネルを敷地各所に
あるスリットへ差し込むだけですが、スリットによっては差し込み難い場合もあるんで
精密マイナスドライバー等で隙間を開けながら差し込むと組立て易いかもです。
シンボルゾーン
正面玄関とも言うべき南側にある中央口を入ると目に入るのが万博の顔である太陽の塔&
お祭り広場から成るシンボルゾーン、中央にある太陽の顔が無く両腕が大屋根の上にある
のはご愛嬌としても腕が邪魔で差込み難い&寸法的に差し込み切れないのは設計ミスか?
大屋根の後ろにはロープウェイの塔を設置、もう一方の塔は向かって左端に設置します。
尚、実際には大屋根の後方に万国博ホール&美術館が設置されておりロープウェイの
シンボルゾーン側の駅(中央駅)は隣にある大地の池の北側に設置されていました。
★参照マップ1★
下の画像をクリックするとタイムスリップグリコの各展示室へ入れます。
では各パビリオンを建設して(差し込んで)いきます。
自動車館/住友童話館/松下館
先ずは南西側のブロックから。 各パビリオンはイラストで表現されていますがその出来
具合には結構斑があったり。 当時の小二向けならこんなもんで…て、感じですかね?
松下館に関しては水面も含めて良い感じに画けていると思います。
モデルでは割愛されていますが実際には自動車館の向こう側にシンガポール館、松下館の
手前にアメリカン・パーク、アラスカ州館、ロスアンゼルス市館も設置されていました。
富士グループ・パビリオン
三井グループ館/東芝IHI館
富士グループ・パビリオンと東芝IHI館は良しとして三井グループ館に関しては
結構なカラーアレンジが…実際の(筍の様に見える)塔は先端が黄色くて本体は青、
本館も茶系だったりします。 子供向けに派手にアレンジしたかったんかなぁ?
本来は富士グループ・パビリオンの奥に象牙海岸館が、富士・三井の間に木曜広場が、
本ブロックの北側通路の中央には動く歩道が設置されていました。
★参照マップ2★
ハワイ州館/イギリス館
ハワイ州館・イギリス館共に形状はまぁまぁですが実際のハワイ州館は火山を
イメージした様なこげ茶色で、ロンドン橋っぽいイメージのイギリス館の屋上には
巨大なユニオンジャックが画かれていました。 ここがイギリス館の肝なんだけどねぇ…
で、実際には2館の間にブラジル館とチェコスロバキア館がありました。
日立グループ館/みどり館/電力館
本ブロック3館のイラストはどれもイメージを伝えてくれる優秀な部類で
特に複雑な形状の電力館は頑張って画いた感じが窺えます。
合体もしちゃうぞ→
チリ館/イタリア館/ビルマ館
チリ館・ビルマ館は良しとしてイタリア館の誤魔化し具合は「んんんんん…?」な感じ。
画師が建物の構造を把握出来ず適当に画いた様な…確かに複雑なデザインなんスけどね。
本来はイタリア〜ビルマ間に七重の塔で御馴染みの古河パビリオンが、その隣にスカン
ジナビア館が、チリ館とイタリア館の周囲にペルー、ベネズエラ、ウルグアイ、パナマ、
キューバ、アルゼンチンの各パビリオンが設置されており、イタリア〜アルゼンチン間
には9個の小国パビリオン集合地が…と、当ブロックは省略必至なエリアなんですな。
★参照マップ3★
ソ連館/ブリティッシュ・コロンビア州館
会場の北西にある北口を入って直ぐにあるのが巨大な赤いカーテン・ソ連館。
実際最も巨大なパビリオンで来館者数も第1位、モデルのイラストもデカくて判り易く
天辺に備え付けた国旗のマーク・ハンマー&カマも描写してあります。
ブリティッシュ・コロンビア州館は複合的デザインである同館のタワー部のみを画くのは
良しとして問題はその場所。 実際にこのブロックにあるのは‘コロンビア(国)館’で
あり、カナダの州である‘ブリティッシュ・コロンビア州館’ではないんですな…
★参照マップ3★
本来は先述のビルマ館の向かいにあるワコール・リッカーミシン館の隣、水すましの池
の南にあるんですがモデルでは池の北西。 小学二年生の付録故に省略&アレンジは必至
ですがコロンビア館はチリ館の隣にあったんで単純に設計者が勘違いした可能性も…大?
★参照マップ4★
アルジェリア館/インド館/せんい館
北側の縁にあるブロックにはパキスタン&トルコ&イランのRCD・セイロン・アフガニ
スタン・カンボジア・ラオス・ネパール・ギリシア・ベトナム・アイルランド・オンタリ
オ州の各館が密集しており、モデルではその中からアルジェリア&インド館をチョイス。
先述のイタリア館では複雑な平面立体構造を誤魔化して描写していましたが、複雑な曲面
立体構造のインド館も画師はイマイチ掴み切れなかった様子…色も本来は白いんですよ。
実際には動く歩道がある大通りを挟んだ手前のブロックにはせんい館が。 シンプルな
デザイン故に画はまずまずな感じかな? 向かって左隣にはスイス館がありました。
★参照マップ5★
ケベック州館/中華民国館/大韓民国館
水すましの池・大地の池の南側にあるブロックは面積も広めで中・大規模パビリオンも
多めだったんですが残念ながらモデルはそんなブロックの北側をバッサリとカット。
同区画でケベック州館の隣にあったサウジアラビア館も割愛されています。
で、ケベック州館から通りを挟んでカナダ館・火曜広場と並び中華民国&大韓民国館へ。
70年万博は台湾が中華民国として参加した最後の万博、画は一見シンプルながら掴み所の
無い幾何学的なデザインを頑張って描写したものの立体描写としては破綻している様な…
手前の大韓民国館もまたトラス状の屋根(と言えるかどうか)を板状で描写する等、
こちらも雰囲気勝負な感じ? 実際はこの2館で1区画、太陽の塔の直ぐ隣でした。
ガスパビリオン/サンヨー館
ユニークさNo.1のガスパビリオンは何故か「目」を描かないという不思議判断。
サンヨー館の形状は良いんですが本来はもっと黒っぽい感じでした。 因みに実際の配置
はケベック州&サウジアラビア館の手前にサンヨー館、その隣にガスパビリオンでした。
カナダ館/オーストラリア館
シンプルながらインパクトがあり1区画フルに使った巨大さも魅力のカナダ館をモデルは
忠実に再現、画師も楽チンだったかな? で、カナダ館の手前にある本来は動く歩道も
整備された西大通りを挟んだ向かいにあるドイツ館の隣にあるのがオーストラリア館。
網を咥え上げたブラキオサウルスの様なオーストラリア館はお気に入りのパビリオン。
こちらも比較的判り易い形状だったか割と忠実に画かれています。
アメリカ館/フランス館
オーストラリア館の西隣にあるのが「月の石」展示で話題沸騰だったアメリカ館。
エアドーム構造は凄いんですが見た目は地味なんでモデル中、最も忠実な描写に…?
先述したドイツ館の東隣がフランス館、こちらも忠実に描写されています。
★参照マップ6★
国際連合館/化学工業館
タカラ・ビューティリオン
太陽の塔の向かって右(東)側エリア奥にある夢の池の畔にあるのが国際連合館でモデル
のイラストは可も無く不可も無い感じ。 本来は隣にOECD館が設置されていました。
実際の配置に合わせ池を挟んだ反対側には化学工業館とタカラ・ビューティリオンが。
本来の化学工業館は白い六角形のお椀型で、細かなユニットの集合体といった感じなので
モデルの化学工業館は明らかに形状が異なるんですが…子供は気にしないレベルか?
タカラ・ビューティリオンはカラーリングは兎も角、ジャングルジムの様な形状を
雰囲気優先で描写。 でも実際はパイプではなく箱の集合体といった感じです。
リコー館/コダック館
リコー館は円筒形の建物の上に気球を設置したスタイルで、この気球を浮かび上がらせる
という演出。 気球と円筒形の外壁表面に映像を映し出す演出もあり、モデルはそんな
幻想的な外観をイメージしたかもしれませんが気球は浮いているイメージなんスよね…
コダック館は3つの六角柱を組み合わせた様な形状。 イラストは明らかに資料を見て
画いていると思われますが形状は兎も角、カラーリングは現物通り黄と赤に絞った方が
良かったかなぁ…この様にアレンジした方が子供は喜ぶと思ったのかもしれませんが。
因みにこのブロックは左から化学工業館、リコー館、コダック館、モルモンパビリオン、
タカラ・ビューティリオンの5館が直線並びになっています。
★参照マップ7★
アイ・ビー・エム館/鉄鋼館
リコー館等があったブロックの南、東大通りを越えた所に並ぶのはIBM館と鉄鋼館。
どちらもシンプルな建物なんでイラストの再現度は○といった処です。
ただ鉄鋼館の壁面にある色は実際には左から緑・白・赤の順だったり。
因みに当時の並びはIBM館と鉄鋼館の間にクボタ館と月曜広場が挟まります。
生活産業館/虹の塔/日本館/地方自治館
IBM館&鉄鋼館から通りを挟んだ南端のブロックからは生活産業館と虹の塔をチョイス。
28の企業から成る財団法人・万国博共同出展協会が「朝な夕な」をテーマに出展した生活
産業館では各パビリオンの記念スタンプを製作したシャチハタ等が出展していました。
一方、虹の塔は日本専売公社(JT)の出展で煙を使ったショー等を開催。
尚、当ブロック最大のパビリオンであった三菱未来館は何故かカットという謎判断。
会場の東端にあるのはゼロテスター1号の様なかっちょええリニアモーターカーの模型
展示が印象的だった万博のシンボルマークを模る日本館とその南側には地方自治館が。
これらのモデルのイラストはどれも雰囲気良く再現していると思います。
★参照マップ8★
日本館で展示予定だった?
電気通信館
モデルではカットされていますが日本館の北隣、会場東口を入って直ぐにあったのは
日本電信電話公社(NTT)&国際電信電話株式会社(KDD)による電気通信館でした。
1970年の こんにちは
始めに組立てた2つのロープウェイ塔に別途で用意した糸を張り2基のゴンドラを
ぶら下げれば万博会場の完成! 当時の小学二年生向け故に省略&アレンジの多い
会場パノラマですが万博の持つ賑やか&ワクワク感は良く出ているんじゃないかと。
1970年の半年間、確かに存在した夢の未来都市…当時の地図で楽しむのも良いですが
例え子供向けの紙製玩具でも立体になると心の刺さり具合がグッと変わりますね。
三波春夫(ら)による「世界の国からこんにちは」を聴きながら行った人は想い出に耽り
行けなかった人は想いを馳せられる…そんな楽しい付録です。
夢のあと
万博閉幕後の跡地は「万博記念公園」として整備され市民の憩いの場に。 太陽の塔を
除き殆どのパビリオンが撤去される中で唯一、鉄鋼館のみがその場に残され万博の
資料を展示する「EXPO'70パビリオン」として2010年3月13日にオープンしました。